「子どもがしょっちゅう癇癪起こす」などの相談のご連絡をいただいて保護者からお話を聞いていくと、ADHDと自閉スペクトラム症を混同されているなと思うことがほとんどです。カウンセラー、療育施設や学校などの先生と相談されていても、「心の傷を癒してあげるといい」説、「とにかく受容してあげるべき」説、「心に訴える説諭をしてわかってもらう」説など、どれもADHDには適用するべきものではありません。
そして、保護者はそういった話に振り回され実行してみるものの、いまいち効果を感じていらっしゃらず、一向に出口が見えてこないのです。中には「愛情が大切」説に従っているのか、それとも元々そういう方針なのか、子どもに支配されているお母様もいます。子どもが癇癪を起こしたり、「死にたい」などパワーワードをつぶやけば、腰が引けてそういう対応になってしまうかもしれません。しかしそういう方を見ていると、いずれ家庭内暴力や引きこもりなど、より深刻な方向に向かうことが予測されます。改善のために行動分析学に基づいたご提案をさせていただくと、大抵の方はひるみ、むしろ子供を庇い始めます。また、大抵の方が「学力には問題ないのですが…」とおっしゃいます。こちらからすれば、きっとこれから学業においても問題が顕著になってくると予言できるのですが。そして何より、自立に向けて学力ではなくもっと根本的な部分に介入しなければならないと思うのですが。そんな状況で勉強の家庭教師をお受けしても生産的ではないことが目に見えるので、レッスンをお受けすることは難しいです。
一つ言えることは、ADHDの子どもは自閉スペクトラム症と違い、いわゆる「空気」を読めることが多いです。人の心やルールそのものが理解できないのではなく、自己管理・自己抑制が苦手なのです。例えば、ADHDの大人はギャンブル依存症、ゲーム依存症などに陥ることがよくあります。そして彼らはやめるべきだとわかっているけれども、「面倒臭い」ことには目を閉じて、逃避するために時には話の論点をすり替えてごまかしたり、何もなかったことにしたりします。つまり、ADHDの子どもには早期から、カウンセリングや一般的なソーシャルスキルトレーニングなどの療育とは違ったアプローチが必要となります。自己コントロールするスキル、我慢するスキルを身につけるソーシャルスキルトレーニングが必要です。まずはご自分のお子様の特性を正しく把握し、適切なトレーニングをしてあげてください。
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