小学校で先生がよく子どもに言います。「気持ちが落ち着くまで、後ろで座ってていいよ。」「気持ちが落ち着いたらでいいからね。」…子どもにとって嫌な課題をするよう指示した途端、怒ったり泣いたり暴れたりして拒否されると、先生はこのような言葉をかけてそっとしておきます。
不適切な行動に対して一旦その場から隔離することは、応用行動分析ABAで「タイムアウト」と言われるものです。しかし、本来の正しい使い方をよく知らないまま使われているように思います。また、タイムアウトだけで解決する問題などなく、それに併せて適切な代替行動を教えたり、環境を整えておかなければ意味はありません。本人の気持ちを尊重した特別支援として適切に見えますが、私はそう判断しません。その理由はABAの観点から、次の例を使って説明します。
間違ったタイムアウトの例
ありがちな間違ったタイムアウト
小学校の算数の授業で、先生がプリントに取り組むよう指示を出すと、泣いて大声で「やらない」と喚き続ける児童がいる。その児童に対し、気持ちが落ち着くまで教室の後ろに座っておくよう指示してタイムアウトさせる。
なぜ悪いのか?
児童の学習権を奪っている。
プリントに取り組まなくてもよいという結果を伴っているため、泣いたり拗ねたりして拒否する「逃避」の行動を強化している。(→泣いて拒否する行動が繰り返されることになる)
児童に対して何の支援もせずに放置している。
適切な対応例
代替行動を教える。(例)「わからないので教えてください」というように促す
行動の機能が「逃避」だけでなく、「注目」の機能も含んでいないか分析する。(泣いたり大声を出すことで、先生や周りの児童に構ってもらっていないか)
L Dのアセスメントを実施してつまずきを分析し、問題の難易度や数を調整するなど工夫する。
まずは一問取り組むよう促し、必ず解けるようプロンプトする。解き終わったら強化し、徐々に一度に取り組める問題数を増やしていく。自分で取り組めたらシールがもらえるなどトークンも利用する。徐々にプロンプトフェーディングをしていき自分で取り組めるようにする。
泣いたり拗ねたりしても、何もしないで済むようにさせない。(本人にとって得になる結果を伴わせない)
まずは不適切な行動をとることで、どんな結果を子どもが得ているのか行動分析をすることが大切です。タイムアウトをさせていても根本的解決にはつながらないどころか、時にはその行動を繰り返すことを強化してしまいます。
お客様の中にも、学校やご家庭で難しい課題が課されるとすぐに大声で泣いたり拗ねたりするお子さんが多くいます。その度に結局、嫌な課題をしないで済んでいるので、ずっと泣き喚くことを繰り返しています。しかし、こちらでセッションを実施して数ヶ月経つと、落ち着いて学校生活を送ることができるようになります。行動を分析して保護者の方に理解していただき、学校と連携がうまく取れればスムーズに解決できます。子どもが発する言葉に振り回されることなく、「行動」にフォーカスしてシンプルに考えるほうが建設的です。
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