勉強や仕事をしていて、すぐに「もうダメ、無理」とか「は〜、疲れた〜」とまるで口癖のように言う子どもや大人っていますね。
仕事中に聞こえよがしにこういうセリフを呟く人がいると、優しい同僚らが揃う職場なら皆が「どうしたんですか、大丈夫?」と声をかけてあげます。そしてその人の愚痴を聞いてあげるなどしていると、自分の仕事がなかなか進まず困ってしまいます。放っておきたいところですが、そんな人が上司や先輩だと本当に困ります。
子どもたちに勉強を教えていると、わからない問題が続くとすぐに「もう無理」「疲れた〜」などど言い出します。そんなこと言っても私は知らん顔をして教え続けるか、『「わからないから教えて」と言えばいいんだよ!』と譲歩しないので、子どももこの人に言っても無駄だと思って諦めてくれます。
行動分析学では「もうダメ」「あー、疲れる」などの弱音は、『注目』または『逃避』の機能を持つ行動だと考えます。弱音を吐けば次のような結果が得られるのです。
直前 誰にも励ましてもらえない(面倒な課題がある)
↓
行動 「もうダメだ!」と言う
↓
結果 皆に励ましてもらえる (面倒な課題を減らしてくれる)
したがって、頻繁に弱音を吐く人に対してすぐに励ましの声をかけたり、仕事量を減らしてやるなどすると、ますます弱音を吐く行動を「強化」してしまいます。きっとこういうタイプの人は幼い頃から、そういう行動をすれば「注目」を得られ、「逃避」ができるという学習を積み重ねてきているのでしょう。幼い子どもなら修正のしようもあるでしょうが、いい歳した大人なら対処は難しいですよね。今更、「甘えるな」的な精神論で説諭をしても、反抗されるだけです。
こういうタイプの人が職場にいるときは、とりあえず私は放っておきます。本当に困った時は「困っているので助けてください」とお願いをしなくてはならないという教育を受けていないのは気の毒ですが、どうしようもありません。その人の注目を得るための話に乗っかってしまうと、延々と終わりのない話に付き合うことになります。そして、もちろんどうしても困っていると思われるときは手伝いますし、悩みを聞きます。しかし、ただ愚痴を聞いて欲しいタイプの人なら時間を区切るようにしています。事前に「〜時に会議がある」「〜時に電話をかける用事がある」など言っておくのです。
そして何らかの特性を持つ子どもは、「ぐする」「拗ねる」行動が元々の特性としてありがちです。それに対して丁寧に一つ一つ「どうしたの」と対応していると、それが逆に「ぐずる」行動を強化して自立を妨げていることがあります。その子達は自分の思い込みが正しいと思っており、認知が歪んでることがよくあります。子どもが自分の認知にしがみつかないように、不適切な行動は上手に放っておいたり他のことに気を向けさせるなどと同時に、認知の歪みを修正していく作業が大切です。また、声をかけてもらいたいから弱音を吐いているので、子どもが問題なく課題や作業をしているときに褒めてあげることも大切です。
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