発達障害のある子どもは音韻認識・空間認知が弱いために、促音部分「っ」に1拍分の空間があることに気づけません。また、拗音については、2文字で1拍分になることも分かりにくいようです。
拗音(ひねる音「きゃきゅきょ」など)や、促音(つまる音「っ」)がなかなか定着しない場合、音声と文字のやりとりだけで練習するより、視覚や運動覚を刺激するプロンプトを利用すると効果的です。
そこで、次のような教材を使って指導しています。
まず、拗音についてです。
3種類の拗音カードと絵カードを用意しています。3種類の拗音カードによって、3ステップで学ぶことができます。イラストによる視覚的イメージと文字が結びつき、記憶に定着しやすくなります。なかなか拗音が身につかない子どもにおすすめです。
また、それぞれの拗音を含む単語カードも用意しています。1つの単語につき、2枚の紛らわしい弁別用のカードを作成しているので、単語の音声から適切な文字を想起する練習ができます。そして、文章を読むときに素早く単語のまとまりを見つけることを促します。衝動性や不注意の特性を持つ子どもが、意識して丁寧に文字を読むこともねらいとしています。
次に促音についてです。
1つの単語につき、2〜3枚の紛らわしい弁別用のカードを作成しているので、単語の音声から適切な文字を想起する練習ができます。そして、文章を読むときに素早く単語のまとまりを見つけることを促します。
また、また、文字の横に、視覚的にイメージしやすくするドットを添えています。文字が定着してきたら、ドット部分を切り離して使用できます。
また、マグネットを用意してドットの上にマッチングさせることにより、運動覚を刺激することもできます。それでもなかなか定着しない場合、他の方法も使っています。
ABAセラピーをしていると、「こんなプロンプトを使ってこんなふうにすればいいのに」と思う場面によく会います。ABAセラピーをされている保護者でなかなかセラピーがうまく進まない方は、特別支援教育の世界には多様なプロンプトが存在することを知っていただきたいです。
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