「アーレンシンドローム」とは、アメリカの心理士ヘレン・アーレンが発見した「光の過敏症」のことです。ある波長の光の感受性が高いために起こる視知覚の困難です。その症状を持つ人たちは、光の揺れを感じたり、光の粒まで見えたりするそうです。太陽光やLED照明を非常に眩しく感じ、本を読むときは紙面が白いと文字がうまく見えず、ボヤけてしまったり、重なって見えたり、動いているようにも見えるそうです。ヘレン・アーレンが設立したIrene Instituteの公式HP(https://irlen.com)をご覧ください。どのように文字が見えるのか、サンプル動画があります。
LDの人たちと同じ症状に思われますが、これは脳機能とは関係なく、入力光だけの問題です。アーレンは、カラーレンズやカラーフィルムを通して見ることで見え方が改善することを発見しました。「カラーオーバーレイ」という商品も販売されています。
日本では筑波大学の心理・発達相談室でのみ、診断やカラーレンズの調合を扱っています。眼科医ですらアーレンシンドロームへの認知度はほぼゼロに近い状況だそうです。
最近、筑波大学の熊谷恵子先生が「アーレンシンドローム」という著書(幻冬社)を出されました。この本を読めば詳しいことがわかりますので、是非ご一読ください。
私は福山市内の公立中学校の英語教員として数年働いていた時に、中学校では毎日大学ノートに30行もの英文視写が宿題として出されるのがスタンダードだと知り驚きました。生徒たちのノートを見ると、中には単語と単語の間のスペースがなく、切れ目がどこなのか分からない子が数人いました。この子どもたちは何かしらの問題を抱えていたと思うのですが、その子どもたちに対して先生たちは「やる気がない」とか精神論的なもので否定するのが当然でした。彼らは頑張って何回書こうとも覚えられるわけではなく、単なる苦行だったと思います。授業中の板書をノートに写すのもどれだけ労力を必要としていたか。中にはやはり、黒板に書かれたチョークの文字は見えにくいという生徒もいました。黒板が反射して見えないという生徒もいたのでせめてカーテンを閉めてやろうと思いそうすると、寒いからカーテンを開けて欲しいなど言う子も必ず大勢出てきてまとまりがつきません。そしてそんな中、宿題や授業用のノートで成績が大きく評価されるというのですから、私自身生徒達に対して非常に心苦しく、ジレンマを抱えて働いていました。義務教育での英語教育が段々と変わっていくことを望んでいます。
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