Q. 自分から勉強をすることができない子どもに、どのように働きかけるのがいいでしょう?
①お母さんの目の届くところで、時間を決めて、勉強を始めるよう約束をする。
②勉強が終わったら、好きなポケモンシールをあげると伝える。
③一緒に本屋さんに行って、子ども自身がやってみたいと思うドリルを買う。
答えは②です。大人だって楽しくないことに取り組むのは簡単ではありません。辛くても仕事に行くのは報酬のためだったり、とりあえず毎日の仕事を終えてビール1杯飲むのを楽しみにしていることもあるでしょう。何かきっかけがないと子どももなかなか机に向かいません。とりあえずはきっかけを作り、「楽しくないもの」から「やってもいいもの」、最後には「やりたいもの」へと変えて習慣づけていきます。
そのためには、②のシールのようなその子が好きなものを勉強の後に渡すのは悪くありません。まずはきっかけを作らないとどうしようもないのです。応用行動分析では、人間の行動を左右するのは、その行動に起きる出来事だと考えます。ですから、好きなものは勉強の後に渡してください。また、何かを手に入れるには我慢も必要だという練習にもなるでしょう。そして、シールやお菓子などの「物」のご褒美と併せて必ず、ほめ言葉(社会的賞賛)をかけてください。
最終的には特別なシールなどのお楽しみがなくても勉強するようになってほしいものです。シールやほめ言葉などのご褒美があれば、勉強に取り組むという習慣が確立されたら、少しずつご褒美の頻度を減らしていってください。「トークン・エコノミー」という方法もあります。これはお店でもらえるスタンプカードのようなイメージです。ある程度のポイント貯めたらご褒美が手に入るようにするものです。スタンプが5個溜まったら、次は10個、・・・100個という風に、ご褒美が手に入る頻度を間引いていってください。さらには、予告なしに特別にご褒美をあげるのもいいでしょう。そうするといつ特別にもらえるのかわからないので、維持して頑張ろうとします。そして最終的には勉強することが当然の習慣になっていきます。
ちなみに①は、お母さんにとてもストレスがかかります。常にその時間は子どもの様子を見張り、拘束されることになります。子どももプレッシャーがかかり、約束を破ったら親子ゲンカを増やすだけかもしれません。
③は、一見子どもを尊重しているように見えますが、そもそも勉強が習慣付いていない子どもには意味がありません。最初の数ページだけやって、放置してしまうでしょう。
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