と、数日前の朝、あるお母様から電話がありました。あまりの頑固さに、一日園を休ませることにしたとのことでした。そこでまず状況を確認したところ、
●子ども本人は「喉が痛い」「鼻水が出る」と言っているが大したことなさそうである。
●今日は仲良しのクラスメートが欠席することになっているので、なんとなく嫌なのではないか。
●幼稚園で嫌なことがあったわけではないと思う(この子の普段の状況からすると、嫌なことがあったら必ずお母様に話すはず)。
そこで私がアドバイスしたことは、
①今日は休ませてもいいが、テレビ、好きなアニメ、オモチャなどの娯楽には一切触れさせずに過ごさせること。
②幼稚園でいつもやっている文字の勉強などをして、部屋で静かに過ごすこと。
③お母様に構ってほしそうにくっついて話しかけてきても、相手にしないこと。遊んでやったりしない。一緒に外出もしない。
④ギャーギャーわめくなどした時は、私が家に行って病院に連れて行くと言っていると伝えておくこと。(そしてお母様にはそんな時は本当に電話してくださいと言って、電話を切りました。)
すると夜お母様からメールで、「今日は指示通りに過ごさせました。(おやつまで無しにしたそうです。)すると夕方に本人自ら、“こんなことならズル休みしなきゃよかったな”と言いました(笑)。」とホッとした様子でお礼がありました。
この子はつまり、幼稚園で嫌なこと(喧嘩、いじめ、先生からの叱責等々)があってそれから逃避したいわけではなかったということです。もし、私の提案通りに娯楽やお母様からの注目も無しで過ごしたのに、それでも翌日も幼稚園を休みたいというならば、幼稚園で何か本当に避けたい嫌なことがあるので先生にすぐに確認しなくてはなりません。本格的に登園拒否を始める前に、早急に対応をしなくてはなりません。この子は幼いので自分の気持ちを認識して言語化することなんてできませんが、そもそも明確な理由なんてないと思います。お母様がいくら「何でなの?」と追求したところで答えは見つからないし、おそらく本人にもはっきりとわからないことだと思われます。親は推測で、こういうことかな、ああいうことかなと心配することに振り回されます。本当のことなんて誰にもわかりません。
小学校で不登校になる子どもは珍しくないですが、私が知っている限りでは、学校を休んで家でゲームをしたり漫画を読むなど自分の好きなことをして過ごしています。特に親が共働きだと家はパラダイスになっています。最初は何かきっかけ(友達か先生に何か嫌なことを言われた、授業で苦手なことがある、中には何と「寒くて起きるのが面倒」といった子どももいました)があったかもしれません。自閉症の場合、「行かない」ということ自体がこだわりになっていることもあります。しかしとにかく、段々と家に居心地のよさを感じて学校に行かないのが長期化し、そのうち何が原因だったのかすらよくわからなくなります。そして子どもも意識してか無意識にか、いろいろな理由を次から次へと作り出し、親もそれに振り回されていきます。カウンセラーは「無理に行かせようとせず、その気になるまで待ってあげるべきです。受け入れてあげましょう。」などと言うので、不登校がますます長期化していきます。中高校生くらいになると、家に引きこもっている子もいれば、自分の好きなことなら外出するので友人と遊んだりアルバイトをしている子どもまでいます。そうならないように、まずは家での様子を観察して、学校と連携したしっかりとした初期対応が大切になります。
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