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執筆者の写真yasaka

指しゃぶりは愛情不足の表れなのか??



指しゃぶりや爪噛み、鼻ほじりをやめられない子どもが多くいます。幼稚園の先生に「お子さんはよく指をくわえていますが、家庭でストレスでもあるのではないのですか?」と言われ、真面目なお母さんは自分を責めて泣いてしまいます。本当に愛情不足などのストレスによるものなのでしょうか??


状況にもよりますが、こういった「自己刺激行動」は愛情不足やストレスなど情的なものとは無関係です。


指しゃぶりや爪噛み、鼻ほじりなどは、人間の行動の機能の一つ「感覚刺激」であり、単純にその感覚刺激が心地良くてやっているわけです。ですから暇で退屈しのぎにやっているか、どうして良いかわからず困っている時に自分を落ち着かせようとしてやっていることが多いです。愛情は関係ありません。大人になってもそういう行動をしている人はいるし、貧乏ゆすりや髪の毛を触ってくるくる巻きつける行動など、そういう行動だって同じ感覚刺激行動です。


以前小学校の支援学級にいた高学年男子に、鼻ほじりがやめられない子どもがいました。観察していると、やはり退屈な時(とはいっても授業中ですが、彼にとっては退屈です)、テストなどでわからない問題で手が止まってしまう時などに頻発していました。高学年にもなると、周りの児童はやはり「汚い」と思っており、露骨にそれを表す児童もいれば、影で悪口を言ってその子を避ける児童もいます。いずれにせよ、やはりその子にとっては、やめないといけない行動です。


その子の担任の先生は応用行動分析ABAの勉強をなさっていたわけではないですが、ABAに沿ったとても適切な対応をされました。その子が支援学級で鼻ほじりをすると、叱りつけるわけではなく、ただ手を洗いに行かせるのです。完璧なABAの手法です。ABAでは行動の直後に何が起きるかを重視します。鼻ほじりの直後に手を洗いに行くという面倒なことをさせられるので、その子は段々と鼻ほじりを止めようと意識し始めました。そしてしばらくして、子ども自身から鼻ほじり防止のために手袋をつけたいと提案してきました。交流学級の子どもたちにも事情を話し、その子が手袋をつけて一生懸命頑張ろうとしていることを伝えると、皆暖かくその子を見守るようになりました。


感覚刺激行動は、どんな時に起きているかを分析して対応を考え、それと同時に代わりとなる適切な行動を教えてやることが大切です。また、自分がどう周りに見られているのか、なぜ不衛生なのか、そういったことを教えるソーシャルスキルトレーニングも必要です。

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