未就園のお子様に、朝昼夜の概念を教えた時の一コマです。
「発達障害の子には視覚支援としてスケジュールを」というのは、療育でよく聞かれることばです。しかし、そもそも絵カードがスケジュールを示すものであり、絵カードの順に物事が進むのだということを、すんなり理解はしてくれません。スケジュールボードを見るどころではない!という状態でしょう。スケジュールを理解するようになるには、「はじめ、次、最後」などの時の順番を先に教えるべきです。「時の概念が薄い発達障害の子に、『はじめ、次、最後』なんて無理!」と思われるかもしれませんが、ABAセラピーでよく使用する「見本合わせ法」を使えば教えられます。
ABAセラピーをしたいというお母様に、「病院でお医者さんに絵カードを使うのが良いと言われ、ABAを勧められたんですけど」と言われたことがあります。そのお母様は、何でも絵カードで示せば意思疎通できるようになると勘違いされていました。ABAセラピーで使用する絵カードと、視覚支援として使う絵カードは、全く異なるものです。そのお医者様は、絵カードやフィギュアなどを使ってマッチング学習をするABAセラピーについて、説明されただけでしょう。しかし、お母様には間違って伝わったようです。ABAセラピーではむしろ、音声によるコミュニケーションの獲得を目指します。その過程に、絵カードなどを使うマッチング学習があるというだけです。
さて、私は「はじめ、次、最後」を教えたら、朝昼夜を教えます。朝昼夜の写真と、それぞれの時間帯に行う行動の絵カードをマッチングさせます。行動だけでなく、「おはよう」などの挨拶も一緒にマッチングさせると良いです。それぞれの行動や挨拶を、分類して覚えていくことにより、逆に朝昼夜の概念を知るのです。こんなふうに、どうしても朝昼夜の概念が分かりにくいお子さんには、先に行動を分類マッチングさせてください。そして、「朝は何する?」「歯磨きするのはいつ?」など尋ねて、カードを選ばせたり、音声で答える練習もしましょう。それができるようになったら、実際にスケジュールボードに絵カードを貼って般化させていきましょう。
そもそも「はじめ、つぎ、さいご」はどうやって教えれば良いのか?それは、またいつか…。
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