発達障害の子どもは、「だれ、何、どこ」などの疑問詞質問に適切に応答することが苦手です。そのため、なかなか会話が噛み合わなかったり、就学以降の読解問題がわからなかったりします。
日常場面では複雑な情報が多数あるため、その中からどの情報部分について応答すべきか、弁別して特定することが難しいのです。ですから、疑問詞質問のやり取りを練習する場合、まず、写真や絵のように情報が限定されるもので練習しましょう。また、「だれ」「何」「どこ」などの音声質問に対する適切な応答練習には、視覚的に理解しやすい絵をプロンプトとして使うことが有効です。
そこで私は指導の際、このような練習カードを使っています。
音声だけで「だれ(何・どこ)?」と問いかけても、なかなか適切な答えが定着しない未就学の子どもには、絵で答えを分類させることによって、視覚的に「だれ・何・どこ」の受容弁別をしやすいようにしています。文字が読める子どもは、文字カードで分類マッチングさせたりもします。最終的に、絵や文字のプロンプトはフェーディングして、音声のみでやりとりできるようにします。
この教材は、3語文や助詞の練習にも使用できます。特別支援教育士の観点から作成していますが、ABAセラピーをしていてなかなか上手くいかない保護者にぜひ使っていただきたいです。まずは絵で練習したら次は写真、動画、そして日常生活…という順に般化していってください。日常生活では複数の人や物など雑多な情報がありますから、なかなか疑問詞に対する答えを特定することが難しいかもしれません。また、場所についても、例えば「公園」と答えるべきなのか、その中の「砂場」など細かく答えるべきなのか、発達障害の子どもにとってはどこで線引きをするのかが分かりにくいです。しかし、あまり細かなことにはとらわれず、まずは疑問詞を弁別できれば良いと考えましょう。そして般化を諦めず、少しずつステップアップしていってください。
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