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執筆者の写真yasaka

鏡文字は発達障害の可能性?

更新日:2023年9月21日

 みなさんはトイザらスのロゴになぜ鏡文字が使われているかご存知ですか?トイザらスはアメリカのおもちゃ会社ですが、「R」の部分を鏡文字のように反転させています。いったいなぜでしょう?… (答えは下の★部分にあります)



 最近生徒さんの中に、ひらがなを書く練習を始めた幼稚園年長の子がいます。先日お母様から「お手本がないと鏡文字になってしまうんです。」というご相談がありました。


 

鏡文字になる原因はいくつかあります。

①視空間認知に問題がある

 視空間認知とは見えたものを処理する力であり、直感的に線の方向や傾き、位置などを捉える力です。この生徒さんはこの力に少し弱さがあり、図形の区別で迷うことがあります。

②視覚的なワーキングメモリーが弱い

 視覚的に形を記憶しておいて、必要な時に想起する力が弱いと、鏡文字になることがあります。

③左右認識が弱い

 左右の認識がうまくいかないと、鏡文字になることがあります。左右、上下の位置関係をうまく認識できない場合、鏡文字になったり、漢字の偏と旁が逆になってしまいます。しかし、幼児の場合はまだ左脳右脳が未分化です。年齢が上がり、脳が発達してくれば自然に改善されます。鏡文字を書くから直ちに学習障害とは限らないのです。それでも就学後どうしても鏡文字になりがちなら、特別な手立てが必要となります。

 ★さて、トイザらスのロゴのRが鏡文字になっている理由です。幼い子がよく「R」を反転させて書くことにヒントを得て、あのようなロゴにしたそうです。英語でもアルファベットを鏡文字にして書いてしまうことはよく起こります。

④不注意で細部に注目していない

 ADHDのお子さんは、細部に注目せず全体的なイメージを何となく覚えていることがあります。以前、英語の指導をしていた生徒で、この問題が特に大きかった生徒がいます。訓練して改善されると、TOEICのスコアが4ヶ月ほどで390点台→610点まで伸びました。丁寧に対象を見ることも学習の伸びにつながります。


 さて、お母様のご心配を解消すべく、原因を探るためのテストや観察をしました。大きな問題はないものの、線の向きや位置関係を捉える力が少し弱いかなと思われました。そこで、毎セッションの初めに視知覚トレーニングをすることにしました。そしてひらがなを書く練習をする際に、書き順や運筆を絵描き歌のように唱えて書くようにしました。形を想起できなくても、書き方を唱えてそれを手掛かりに思い出せるようにするためです。また、多感覚で覚えてもらうために、指で何度もなぞってから鉛筆で書いたり、お手本を一画ごとに色を変えて視覚的にわかりやすくしました。他にも粘土で文字の形を作ってもらったり、日常で左右を意識するような声かけをするようお母様にお願いしました。


 書き順や運筆を絵描き歌のように唱えて書く「下村式 ひらがな練習ノート」があります。「も」なら、「たてぼうおろして まがってぴゅう そしてあとからよこにほん」という具合です。マスを四つにわけて空間認知しやすくしてくれるなど、特別支援の観点がたくさん入っています。漢字練習ノートもあるので、小学生のお子さんにはオススメです。




 みなさんは、視覚、聴覚、触覚・運動覚のどれが優位ですか?私は超・視覚です。漢字も英語のスペルも書いて覚えたことがありません。見れば覚えられるし、形やスペルが頭の中に紙に書いたときの様子で想起できます。私はそれが普通だと思って生きてきたのですが、特別支援を勉強するようになってそうではないと知りました。学生時代、授業で先生の口頭での説明が長ければ長いほど、全く頭に入らずいつの間にかぼんやりしてしまいました。図や実演を見る方が早く理解できます。授業をする側は、人には色々な認知の特性があることを理解し、多感覚に訴える授業をするようにしたいものです。





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